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あなたが苦手なことは得意なわたしがやるね

彼は家事が苦手なようだ。正確に言うと、わたしが望むやり方・クオリティーで家事をすることは難しい。

 

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たとえば、皿洗い。わたしはあらかじめ目立つ汚れをぬぐっておいて、汚れの少ないものから油の多いものを最後になるように順番に洗っていく。洗い流すときだけお湯を使うときれいに洗い流せる。なるべく使ったお皿はすぐに洗うことで、汚れのこびりつきを防いでいる。洗い終わったら水切りすのこに並べておくか、時間のあるときはふきんで拭き上げて食器棚にしまうところまでやる。誰かに教えてもらったわけではないが、一人暮らしをしているうちにだんだん覚えていった。

 

同居人に望むのは、汚れを落として水切りすのこに置くまでだ。洗う順番はどうでもいいし、食器棚にしまわなくてもいい。

だが、彼に皿洗いを頼むと、フライパンから洗い始めて、その汚れがついたままガラス製のグラスを洗ったりなんてことをする。そうするとグラスに油汚れがうつってべたべたしてしまうのだが、彼は全く気にせずそれを水で流して水切りすのこにのせてしまう。最終的には全体がすこしべたべたするお皿たちが水切りすのこに乗っている状態になり、ため息が出る。わたしは彼に求めすぎだろうか。

 

解決策としては彼に頑張って皿洗いを覚えてもらうか、食洗機を買うか、そもそもあまり汚れないような食材・調理方法で料理をするかだろう。

でも、他人に変わることを期待しすぎてはいけない。環境を変えたくても食洗機は少し高いし、キッチンにおける場所がなかった。だからこれに関しては、わたしが変わろうと思った。油汚れがつきやすい料理はなるべく減らした。それでもだめだった。

なので、彼に皿洗いを頼むときは、油汚れがつきやすい調理器具を全て予洗いして下処理をしておくようにした。それから彼に皿洗いをしてほしいと頼めば、(彼の気が向いたときには)きちんと皿洗いが終わっているようになった。

それでも、下処理をするなら自分でやってしまう方が手っ取り早かった。予洗いしておいても、彼が皿洗いをしてくれるまで待てずに自分でやってしまうときも多かった。これは今振り返って反省している。待てないわたしにも課題がある。ただ、汚れたお皿やフライパンが流しに数日間にわたり放置されるのはわたしにとって耐え難かった。冬はともかく夏はコバエがわいてきたのだ。皿洗いに関してもごみ出しと一緒でわたしは諦めてしまった。自分でやればいいんだ、と。

 

 

または、洗濯物。

洗濯物は洗ったり干したり畳んだりとあるが、洗うのは機械がやってくれるため特に問題はない。(今までは洗剤の問題もあったが、ジェルボールを使うことで解決させた。)畳むのも彼が乱雑に畳むのが嫌で、わたしの分は畳まなくて良いとお願いした。そのかわり、わたしも彼の分を畳むことはしなくなった。

問題は干すときだった。

 

わたしは洗濯物を干すとき、パンパンとシワをのばしてから干す。そうすることで服のシワは目立たなくなるし、タオルは洗濯機でよじれた繊維が立ち上がってふんわり仕上がる。干し終わったら服と服の間隔を少し開けて、風通しをよくしておくことも忘れない。

実は家事のなかで一番好きなものかもしれない。

 

面倒くさがりの彼には、洗濯物が乾くように干してくれればいい、それしか望んでいない。 彼はシワをのばさずに干すので、タオルもへんなクセがついていたり、シワになりやすいシャツは型崩れしていたりする。我が家にはアイロンはないので、そうなるとしわしわのままになる。わたしはシワになりやすい素材の服はすでに手放していたので、許容した。彼が干すとタオルがぺしゃんこだったが、わたしはてぬぐいを使い始めたのでそれも気にならなくなった。さすがにへんな形で干されていると乾きにくいという弊害もあるのでやめてほしいと思ったが、彼に関してわたしが許せる数少ないことだったので口出しはしないようにしていた。

 

話が脱線するが、わたしは彼と結婚するつもりで同棲をはじめた。交際してしばらくしてから彼はわたしの親へあいさつをしてくれた。同棲をしようとしたとき、もう一度親に会いに行き、一緒にお願いをしてくれた。(わたしも向こうの親へ挨拶に行った。)

いろいろと思うところはあったが、彼とはずっと暮らしていけると感じていたので、一緒に住むことは楽しみで仕方なかった。(それについては、またいつか書くかもしれない)

 

閑話休題。

わたしも彼もそういうつもりだったので、職場が近いこともあり、彼の職場の先輩たちと何度か食事に行くこともあった。そのときに彼の先輩から言われた。「こいつ、シワシワのシャツとか着てくるんだよ。彼女さん、なんとかしてやってくれよ」と。わたしは怒りと悲しみで涙が出そうになった。あいまいに笑ってからトイレに逃げ込んだ。

 

わたしは彼にシワシワのシャツなんて着させたことがない。彼が自分でシワシワにしているだけだ。そしてなにより、家事は女性がして当たり前で、できていないのは恥じるべきことなのだと言われた気がした。この平成の時代でも、女性は家で男性に尽くさなければならないのか。悔しかった。

 

同じ時期に大学を卒業して、同じ時期に就職したが、同じ家で暮らす彼は家事をほとんどしてくれない。でもそれが世間で許されている。わたしは家事が好きだから、彼が家事を得意としていなくても別にいい。でもそれを押し付けられて、やってもらって当然というのは納得できない。それから、わたしは同じくらいの時間働いていても彼より給料は低い。だけど、2年近く払い続けている家賃はほぼ折半だ。それでも彼に負担額を増やすように求めたことはなかった。男性にお金を出してもらって当然とは考えていなかったからだ。自分でゆずれないこだわりが自分を苦しめていた。

 

だから悩みに悩んだけれど、わたしは彼に切り出した。家賃の負担額を見直してほしいと。

 

わたしが家で家事をしているとき、彼は休日出勤をしていたりする。仕事が大変なんだなと知っていたから、自分ができる範囲で支えたいと思った。今まで文句も言わずやっていた。あるとき彼がふとわたしに。自分の給料を自慢したことがあった。わたしがもらっているそれより何万円も多かった。

 

彼の収入がそれなりにあることを知ったわたしは、提案した。「あなたが仕事に時間を割けるようにわたしが家事を多く負担しても構わない」と。条件は、家事にあてた時間を最低賃金で換算してその金額相当を家賃負担額としてわたしではなく彼に払ってもらうということだった。彼は比較的その提案に前向きだった。うれしかった。ちょうどドラマでやっている「逃げ恥」みたいだなと思った。契約結婚か、うまくできているなと思った。

 

わたしが住む地域の最低賃金は930円。わたしが家事に割く時間は平日1時間30分、休日3時間、週合計13.5時間。1ヵ月を4週間とした場合、54時間家事に時間を使っていることになる。930円の時給なら50,220円のお給料が発生する。本来ならふたりでやるはずの家事だから、彼に負担してほしいのはその半額で約2万5千円だ。わたしたちは家賃10万円のアパートに住んでいるから、今までは5万円ずつ負担していた。これからは7万5千円(2万5千円アップ)と2万5千円(2万5千円ダウン)でいいのだろうか。

 

彼に試算した家賃を伝えると、マジかと聞かれた。マジだよと返した。

思っていたより金額が高かったのか、出し渋られた。パッと見ると5万円の差がでるように見えてしまったのかもしれない。伝え方が悪かった。これが営業の仕事ならきっと失注している。説明を繰り返して理解はしてくれても結局負担額は変わらなかった。そういうものかとまたひとつ諦めた。